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企業法務/知財の最新事情 【リーガルステーション】 動き出さざるを得なくなった法科大学院の見直し
企業法務/知財の最新事情 【リーガルステーション】 	司法界も今、大きく変わりつつあります。裁判、司法行政の現場を見つめ続けてきたジャーナリストがその動きを読み解き、今の、将来の実務に役立つコラムです

企業法務/知財の最新事情 【リーガルステーション】 法科大学院の見直しがいよいよ始まったようだ。志願者離れが顕著になってきたことに加え、教育内容が受験に偏重したり、レベル差があり過ぎたりしているため、基本の教育カリキュラムを統一する動きが出てきたのである。司法試験合格率が低迷して定員割れしているロースクールはさらに受験者が減り、淘汰に進む可能性が高い。法曹人は社会では応用問題に対応するわけで、法律専門学校レベルではたとえ司法試験には合格しても、プロの養成は難しいと思う。そもそも「規制緩和万能」と勘違いした時代に、とんでもない人数の法曹増員要求から始まった不幸があった。この際、腰を据えて法曹養成を担える体制に構築し直すチャンスだと、前向きに捉えてほしいものだ。

2008年度の入試状況は、予想されたとはいえ、悲惨なものとなった。74法科大学院の志願者数は計3万9555人(07年度は4万5207人)、志願倍率は6.8倍(同7.8倍)で、いずれも過去最低となった。いささかバブル人気気味だったのが、冷静に合格可能性や将来性を判断するようになったということだろうか。来年の法科大学院適性試験の出願者数を見てもこの傾向は変わっておらず、昨年より2799人(17.6%)少ない1万3138人が出願した。5年連続の減少である。日弁連法務研究財団などが実施する「統一適性試験」も、昨年より2015人(16.9%)少ない9930人が志願した。こちらは2年連続の減少だった。ただ二けたの減少が連続するのは深刻で、小手先の対策では流れは変わらないだろう。

08年度の入学者数は計5397人で、法学既修者は2066人、未修者は3331人。定員割れは国立で23校中12校、公立で2校中1校、私立で49校中33校の計46校あり、前年度の36校を10校上回った。最も倍率が高かったのは千葉大の17・4倍。定員充足率が8割未満の大学が国立1校、私立15校あった。千葉大の人気が高かったのは司法試験合格率の高さばかりでなく、社会人入学者への充実した教育内容が受験生に好感された結果とみられる。それにしても全体の6割強で定員割れという実態はどう判断すればいいのだろう。新司法試験合格者のレベル低下が囁かれていることを踏まえれば、司法試験のレベルが下がることはないと予想され、それに対応できる人材しか入学させることができないと判断したのだろうか。 大学経営だけでは捉えきれない苦渋の選択であろう。根拠なく法曹人口の量的拡大を叫んでみても、質的な担保を求めるならば、年齢人口の一定割合しか養成できないということかもしれない。福岡大(福岡市)は定員を09年度から、現行の50人から20人減らし30人とすることを決めた。04年4月に開校した同大ロースクールは、新司法試験の合格率が06年度3人、07年度6人と学生定員の1割前後と低迷。入学者を08年度は35人に絞ったが、09年度からは定員自体を削減する。

社会人入学者も減少した。前年度比12.2%減の計1609人となり、入学者全体の29.8%になった。社会人の割合の減少は4年連続で、遂に3割を割り込んでしまった。その一方で社会人が全入学者の5割以上を占めるロースクールも15大学あり、受験者側での選択が厳格になっているようだ。そんな中で愛知大法科大学院では入学者のうち、法学部以外の学部出身者と社会人の割合が2割を下回った。文部科学省は、社会人・他学部出身者の割合を3割以上にする努力義務を課し、2割に満たない場合は入試の実施状況を公表するよう告示で求めている。法科大学院制度開始以来、2割を下回ったのは初めてのことだ。

受験者数の問題ばかりではない。教育内容の見直しも始まった。大学などの評価を行う独立行政法人「大学評価・学位授与機構」などから教育内容が水準を満たしていないなどで「不適合」とされた法科大学院は、評価を受けた24校の2割超の5校あった。カリキュラムは、文科省の省令などで、取得単位数の下限や「法律基本科目」、「展開・先端科目」などの授業を行うことが定められているが、細部は各校の自由裁量。この結果、司法試験合格率にとらわれすぎて試験対策に偏ったところが新設校に多く見られる。このため政府は法科大学院で教える最低限の内容を示す「コア・カリキュラム」策定の検討に入った。法科大学院ごとに異なる教育内容の大部分を共通化し、教育の質を保証し向上させることが狙いで、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)に、「法科大学院の教育の質の保証に関するワーキング・グループ」を設置。法学者や弁護士、裁判官らが検討を進める。医学部と歯学部ではコア・カリキュラムが2001年から導入されている。医、歯学部の状況を参考に法科大学院のコア・カリキュラムの概要やカリキュラムを新司法試験の出題範囲と連動させることなどについて検討するが、医学部のコア・カリキュラムは全カリキュラムの約3分の2を占めている。生き残りを掛けて法科大学院は大きな曲がり角を迎えたようである。

石田 哲夫

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