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企業法務/知財の最新事情 【リーガルステーション】 07年度中国の知財権侵害判例集から〈2〉
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企業法務/知財の最新事情 【リーガルステーション】 【フランス・都市有限公司(SOCIETE A RESPONSABILITE LIMITEE)が上海東宝百貨有限公司、上海拉夏貝尓服飾有限公司を商標権侵害及び不正競争につき訴えた紛争事件】 《争点=百貨店は、その店内でテナントにより販売されている商品が商標権を侵害していないことの合理的審査義務を負うか》

(1)事実関係=原告都市公司は、1999年 8月 31日、フランスにおいて「LA CITY」商標の登録を取得し、2000年 2月 28日、「マドリッド協定」に基づき当該商標の国際登録を取得した。その後、原告は、当該商標について中国国家商標局にて登録し、商標登録証明を取得した。登録の公告日は 2000年 2月 28日、専用権の期間は2000年 12月 28日から 2010年 12月 28日まで、商品区分は第 25類で被服、履物、帽子等が含まれる。 都市公司は、2006年 7月 26日、東宝公司において「LA CITY」ブランドの洋服 1着を購入したところ、洋服のタグに製造者として拉夏貝尓公司の名前が表示されており、レシートには東宝公司のレシート専用印が捺印されていた。拉夏貝尓公司の宣伝パンフレットにも、「LA CITY」の文字が表示されていた。同年、都市公司は、拉夏貝尓公司に弁護士レターを送り「LA CITY」登録商標の使用停止を求めたが、その後も都市公司は、他の大型百貨店から拉夏貝尓公司の製造した「LA CITY」ブランドの衣料を購入した。 拉夏貝尓公司は、「LA CHAPELLE 拉夏貝尓」登録商標の商標権者であり、両被告の間には契約書が締結されていた。契約書には、両被告の提携関係は共同販売であり、東宝公司は被告拉夏貝尓公司がその百貨店内において上記ブランドの女性衣料品を販売することに同意する旨が約定されていた。拉夏貝尓公司は、かつて「LA CITY」、「CITY LA CHAPELLE」等の商標登録を出願したことがあったが、登録はされていない。以上の事実に基づき、原告は、被告を商標権侵害及び不正競争で提訴した。

(2)第一審判決=一、被告拉夏貝尓公司および被告東宝公司は、原告都市公司の有する「LA CITY」(第25類)登録商標専用権に対する侵害を即刻停止せよ 二、被告東宝公司は、本判決の発効日より 10日以内に原告都市公司に対し経済的損失20,000人民元を賠償せよ三、被告拉夏貝尓公司および被告東宝公司は、本判決の発効日より 10日以内に原告都市公司に対し合理的な支出費用 1,200人民元を共同で賠償せよ 四、原告都市公司のその他の請求を棄却する 第一審・上海市第二中級人民法院は、次の通り判示した。 商標は、それが国際商標登録証を有していることのみをもって、中国において必然的に審査確認および保護を受けることの証明にはならない。但し、原告は、国家商標局から交付された商標登録証明をすでに提出しているため、都市公司は「LA CITY」商標について第 25類商品において商標専用権を有する。 「CITY LA CHAPELLE」は登録商標に該当しないため、拉夏貝尓公司はその商標に対して専用権を有さず、ゆえに「LA CITY」は「CITY LA CHAPELLE」の略称であるという主張もまた成立しない。従って、拉夏貝尓公司が製造および販売する商品は、原告が権利を主張する第 25類商品と同種商品であり、かつその商品に原告と同一の登録商標を使用していることから、都市公司の登録商標専用権に対する権利侵害を構成する。 拉夏貝尓公司の宣伝パンフレットおよび店頭看板における「LA CITY」の文字の使用は、不正競争を構成しないが、中国の「商標法実施条例」に規定する商標の使用行為に該当するため、商標権侵害行為を構成する。 東宝公司は、被告拉夏貝尓公司が百貨店内において係争商標を表示した衣料品を公開販売していることに対し、当該商標の権利帰属について当然審査を行うべきであり、また、経営規模の大きい販売店として、そこで販売される製品の適法な出所について当然審査を行うべきである。しかしながら、東宝公司は、拉夏貝尓公司が関連の商標登録証明を提出していないにもかかわらず、いかなる異議も表明しなかった。従って、東宝公司は合理的な審査義務を尽くしていないと認定し、主観的に過失があると推定すべきであり、権利侵害を停止するほか、さらに損害賠償の民事責任を負うべきである。

(3)第二審判決=上訴棄却、原判決維持 第二審・上海市高級人民法院は、次の通り判示した。 係争商標は、すでに 2000年 2月 28日に国家商標局の審査を経て登録公告がなされており、東宝公司および拉夏貝尓公司は、同種商品において当該商標を使用する前に、関連の商標検索手続によって被上訴人の係争商標の登録情報を知ることができた。東宝公司は、拉夏貝尓公司と共同販売を行う販売業者として、拉夏貝尓公司が製造する衣料に使用されている商標について審査を行う義務がある。双方の契約によれば、東宝公司が許可したのは、拉夏貝尓公司がその百貨店内で「拉夏貝尓」衣料を販売することのみである。従って、東宝公司は、拉夏貝尓公司が製造、販売する「LA CITY」商標の表示された衣料について、当該標章が他人が同一商品上に先に使用している商標権を侵害していないかどうかを審査する義務がある。 拉夏貝尓公司は、係争商標について登録出願したが、これはその係争商標に対して権利を有することを意味しない。当該商標が審査確認されるまでは、当該商標の使用行為が他人の適法な既存の権利を侵害する可能性を排除できない。従って、商標の登録出願を提出したことのみをもって当該標章の使用行為の適法性を調べる義務がないという抗弁は成り立たず、合理的な審査義務を尽くしたという根拠とはならない。

(4)解説=本件から分かることは、百貨店は、その店内でテナントにより販売されている商品が商標権を侵害していないことの合理的審査義務を負っているということである。百貨店は、国家商標局が関連の商標について発行した登録証明を審査しなければならず、これを行わない場合、合理的な審査義務を尽くしておらず、実際の販売業者と共同で権利侵害を構成したものとみなされる。

(5)ポイント=日本企業が中国企業に対し商標権侵害を理由に提訴する場合、商標権侵害品の直接の販売者だけでなく、当該販売者がテナントとして入っている百貨店をも被告として提訴することができる。通常、百貨店の方が販売店よりも資力があると考えられること、また、百貨店をして販売店に対する監視を期待することもできること等から、百貨店をも商標権侵害訴訟の被告として提訴することは商標権者にとって有益であると考えられる。日本企業としては本判決を大いに参考にすべきであろう。 石田 哲夫

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