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企業法務/知財の最新事情 【リーガルステーション】 07年度中国の知財権侵害判例集から〈5完〉
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企業法務/知財の最新事情 【リーガルステーション】【河南省農業科学院糧食作物研究所が永昌県種?公司を訴えた植物新品種権侵害紛争事件】
《争点=植物新品種権侵害事案における損害賠償金額の確定基準》

(1)事実関係=作物研究所は、トウモロコシの交雑新品種「鄭単 958」の品種権者で、2002年1月1日に権利付与を受けた。永昌種子社は、甘粛省永昌県水源鎮北地村地区において、新品種「鄭単958」のトウモロコシを 2000ムー(1ムー≒6.667アール)の土地において無断で育成した。作物研究所は、永昌種子社の行為がその合法的権益を著しく侵害したと判断し、これに対して蘭州市中級人民法院に訴訟を提起した。

(2)第一審判決=一、 被告の永昌種子社は、直ちに原告の作物研究所が有するトウモロコシ「鄭単958」の植物新品種権に対する侵害行為を停止せよ 二、 被告の永昌種子社は、原告の作物研究所に対して経済的損失 30万人民元を賠償せよ 三、 原告の作物研究所によるその他の訴訟請求は棄却する 第一審・蘭州市中級人民法院は次の通り判示した。 作物研究所がトウモロコシ「鄭単958」の植物新品種権証書を獲得した後、直ちにトウモロコシ「鄭単958」の品種権者として排他的独占権を有するのであって、いかなる単位または個人も品種権所有者の許諾を受けずに当該品種を無断で育成しもしくは販売してはならない。人民法院は、作物研究所の申立に基づき、趙金天(永昌種子社の種子を購入した栽培業者)が耕し植え付けた畑からトウモロコシのサンプルを取って密封保存し、北京市農林科学院トウモロコシ研究センターに鑑定を委託した。その結果、送検サンプルは農業部植物新品種保護弁公室植物新品種保蔵センターの提供した基準となる鄭単 958との間において差異が検出されず、両者は同一品種であるとの結論を得た。当該結論は、永昌種子社が原告の許諾を受けずに永昌県水源鎮北地村においてトウモロコシ「鄭単958」を無断で育成、生産、販売していたことを証明した。 被告は、権利侵害行為を直ちに停止しなければならず、かつ損失を賠償する民事責任を負わなければならない。本件の作物研究所及び永昌種子社が提出した証拠によれば、被告が不法行為により獲得した利益を確定することはできない。そこで第一審人民法院は、作物研究所が訴外河南農科院種業有限公司と締結した「技術契約書」において年間使用料を 30万人民元と約定し、訴外河南農科院種業有限公司が原告の作物研究所に当該交雑品種の年間使用料 30万人民元を支払済みであることについて両者の証明書類が一致していることに鑑み、本件においても当該支払済みの 1年間の許諾使用料と同額で賠償させることが客観的に公正であると判断し、超過部分の金額については支持しないものとした。

(3)第二審判決=上訴棄却、原判決維持 第二審・甘粛省高級人民法院は次の通り判示した。 永昌種子社が栽培業者の趙金天に提供した種子について鑑定したところ、基準となる鄭単 958との間に差異は検出されず、両者は同一品種にあたることが実証された。従って、永昌種子社が作物研究所の許諾を得ずに無断で永昌県水源鎮北地村においてトウモロコシ「鄭単958」を育成、生産、販売したという行為は、権利侵害にあたる。 本件の両当事者が提出した証拠からは、権利侵害により獲得した利益を確定することはできないため、原審人民法院は、作物研究所が訴外河南農科院種業有限公司と締結した「技術契約書」において年間使用料を 30万人民元と約定し、訴外河南農科院種業有限公司が原告の作物研究所に当該交雑品種の年間使用料 30万人民元を支払済みであることについて両者の証明書類が一致していることに鑑み、本件においても当該支払済みの 1年間の許諾使用料と同額で賠償させることは不当とはいえず、永昌種子社の上訴理由は成立しない。

(4)解説=本件の両判決は、最高人民法院の「植物新品種権侵害に係る紛争案件の審理における法律適用問題に関する若干の規定」第 6条第 2項の規定と同様、植物新品種権者の許諾使用料をもとに損害賠償額を確定した。上記の規定は、2006年 12月 25日に制定され、2007年 1月 12日に公布され、2007年 2月 1日に施行された。この損害賠償額の確定基準は、特許権侵害事案に関する司法解釈、すなわち、最高人民法院の「特許紛争事件の審理における法律適用問題に関する若干の規定」第 21条にもみられるものである。

(5)ポイント=日本の農産物の技術革新が進む中、中国における権利侵害が今後ますます増加するものと思われる。中国における権利侵害に対しては積極的に法的措置をとっていくことが必要であるが、その前提として、植物新品種権を中国において申請・登録して権利化しておくことが何よりも重要である。  石田 哲夫

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