遺言作成から財産管理・任意後見まで対応した事例

当初は父の遺言作成のみのご相談でしたが、ヒアリングの結果、財産管理等委任契約・任意後見の公正証書作成の必要性も判明し、それらの作成も行った相談事例です。
※個人情報保護のため、事例の内容は一部変更しています。
ご相談の概要
- 相談内容
- 父の遺言作成(当初)。ヒアリング後、財産管理等委任契約・任意後見の公正証書作成も実施
- 相談者
- 受遺者であるお子様
- ご本人
- 90代後半の遺言者
- 主な財産
- 預貯金・不動産
- 家族構成
- 遺言者、妻、子3名
- 作成した書類
- 公正証書遺言、財産管理等委任契約、任意後見の公正証書

ご相談前のお悩み
相談者であるお子様は、受遺者として遺言者の代わりにご連絡をくださった方です。ご本人は90代後半の男性で、高齢のため遺言書を無事に作成できるかどうかを強く心配されていました。
また、不仲な相続人がいたため、相続トラブルが起きないかという点もご不安でした。財産の分け方自体で迷われていたわけではありませんが、遺留分を残すか否かという点は、家族関係上、注意が必要な論点でした。
初回相談で確認したこと
初回相談では、遺言作成に加え、遺言者の生活状況で困っている点がないかを確認しました。相続関係や財産の内容を整理しながら、ご本人の意向や日々の生活の実態を丁寧にヒアリングしました。
その結果、遺言作成だけでは対応しきれない問題があることが判明しました。ご本人の生活が援助なしでは困難な状況であり、財産の大半を不動産が占めていたことから、財産管理や任意後見を通じた認知症対策も必要であると判断しました。
財産管理・任意後見のご提案
当職より、遺言者自らの生活が援助なしでは困難な状況であること、財産の大半を不動産が占めていることを踏まえ、財産管理および任意後見を通じた認知症対策の必要性をご提案しました。
遺言書は死後の財産承継を定めるものですが、ご本人が元気なうちから備えておくべき生前対策もあります。財産管理等委任契約や任意後見は、将来の判断能力の低下に備え、財産や身上の管理を信頼できる人に任せるための手段です。今回のケースでは、遺言作成とあわせてこれらの公正証書作成も行いました。
公正証書遺言を提案した理由

公正証書遺言は、公証人が関与して作成する遺言です。自筆証書遺言と比べて、形式不備による無効のリスクを抑えやすく、後から「本人の意思ではなかった」「意思能力に問題があった」などと主張される可能性を軽減しやすいという特徴があります。
今回のケースでは、やはり後から遺言が意思能力の欠如等を理由に無効であることを、他の相続人に主張される余地を軽減させることが一番の理由で、公正証書遺言での作成をご提案しました。
遺留分への配慮
今回の事例では、遺留分への配慮が必要でした。法定相続人には遺留分が認められており、遺言の内容によっては、遺留分を侵害したとして後から争いが生じる可能性があります。
あえて遺留分を残さず全財産を渡す方法もありますが、そのメリットやデメリットについても具体的にご説明しました。ご本人のご意向を尊重しつつ、相続人間のトラブルを最小限に抑えるため、遺留分の問題を作成時の最重要ポイントとして扱いました。
遺言執行者についての説明
遺言執行者の指定についても説明しました。遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人のことです。相続人全員の住所調査、遺言内容の通知、財産目録の作成、相続人とのやり取りなど、遺言内容を実行するための実務を担います。
受遺者自身が遺言執行者になることも可能です。その場合のメリット・デメリットも含めてご説明し、ご本人のご希望に沿った形を検討しました。
相続税対策について

相続税対策として、提携先税理士による相続税シミュレーションをお勧めしました。不動産を含む財産構成の場合、相続税の負担が想定以上に大きくなることもあります。生前の段階で税務面の見通しを立てておくことは、ご家族にとっても有益な情報となります。
作成時に注意したポイント
作成時に特に注意した点は、遺留分への配慮です。ご本人のご意向を反映しながらも、不仲な相続人がいる状況を踏まえ、後から争いが生じにくい内容となるよう、文面の組み立てに細心の注意を払いました。
相談後の結果
相談者は、遺言作成以外の問題があることを全く想定できておらず、それらも解決できて満足されていました。当初の目的であった遺言作成にとどまらず、財産管理等委任契約・任意後見の公正証書作成まで対応できたことが、ご相談者の安心につながった事例です。
この事例で専門家が関わった意味
今回の事例で専門家が関わった大きな意味は、遺言作成以外の問題があることを指摘できたことです。相談者が最初に想定していたのは遺言作成のみでしたが、ヒアリングを通じて生活面や財産管理の課題が見えてきました。
専門家が相続関係、財産内容、ご本人の生活実態を総合的に確認することで、遺言書だけではカバーできない論点にも気づき、適切な生前対策をご提案できる点が、今回の相談の価値でした。
同じようなお悩みをお持ちの方へ
財産管理や身上監護を信頼できる受任者に任せる、財産管理等委任契約、任意後見、死後事務委任契約等、生命保険による相続税対策等、生前対策には様々な方法があります。
また、専門家に相談することで、想定していない問題点が初めて露呈することもございます。「遺言書さえあれば大丈夫」と思われがちですが、ご本人の状況によっては、遺言以外の備えも必要になる場合があります。早めに専門家へご相談されることをおすすめします。
