先妻の子がいる夫婦の遺言・遺留分対策事例

現在の妻との間に子はいない一方で先妻の子がいる状況で、「全財産を妻に渡したい」というご希望を受け、遺留分・遺言執行・相続税対策まで含めて公正証書遺言の作成をサポートした相談事例です。
※個人情報保護のため、事例の内容は一部変更しています。
ご相談の概要
- 相談内容
- 現在の妻との間に子はいないが先妻の子がいる状況で、全財産を妻に渡したい
- 相談者
- 遺言者ご本人(夫)
- ご本人
- 70代の遺言者
- 主な財産
- 不動産・預貯金・有価証券
- 家族構成
- 現妻、先妻との間の子3名(現妻との間に子はいない)
- 作成した書類
- 公正証書遺言

ご相談前のお悩み
先妻との間の子に相続権があることを知り、遺言書を作成しないと全員で遺産分割協議が必要になってしまうことを知人に指摘されて知った、という経緯でのご相談でした。
亡くなった後にもめないようにしたいというお気持ちがある一方で、遺留分のことがよくわかっていない、という点が大きなご不安でした。
初回相談で確認したこと
初回相談では、相続関係や財産の内容を整理しながら、ご本人の意向を丁寧に確認しました。特に、先妻との間の子とは疎遠で連絡先を知らないため、相続発生後に、先妻のお子様へどのように連絡・通知するか、という点が実務上の重要な論点でした。
また、全財産を妻に渡したいというご希望に対し、先妻の子に遺留分を与える内容にするか、または全財産を妻に渡すかの意向確認を行い、遺留分を主張された場合の対応の仕方についても説明しました。
遺留分への配慮
遺留分を与えた場合とそうでない場合の違いについて、詳細にご説明しました。あえて遺留分を残さず全財産を渡す方法もありますが、そのメリット・デメリットを具体的にお伝えし、ご本人のご意向を確認しました。
あわせて、生命保険の活用による遺留分対策・相続税対策についてもご案内しました。今回のケースでは、財産管理等委任契約や任意後見は対象外とし、遺言作成を中心に進めています。
公正証書遺言を提案した理由

公正証書遺言は、公証人が関与して作成する遺言です。自筆証書遺言と比べて、検認手続が不要になること、形式不備による無効のリスクを抑えやすいことが特徴です。
今回のケースでは、検認手続が不要になることに加え、後から遺言が意思能力の欠如等を理由に無効であることを他の相続人に主張される余地を軽減させることが一番の理由で、公正証書遺言での作成をご提案しました。
遺言執行者についての説明
遺言執行者の指定についても説明しました。遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人のことです。
本件では、先妻の子に遺言内容を通知する民法上の義務があり、先方とやり取りが発生するため、執行者の責任と役割は非常に重要です。受遺者自身が執行者になれることや、その場合のメリット・デメリットを特に丁寧に説明しました。
相続税対策について

相続税申告が必要なため、税理士の関与が必要でした。提携先の相続税専門の税理士を紹介し、相続税シミュレーションも行いました。
作成時に注意したポイント
作成時に特に注意した点は、遺留分への配慮と、紛争防止の観点から遺言執行者の権限をより正確に記載することです。ご本人のご意向を反映しながらも、後から争いが生じにくい内容となるよう、文面の組み立てに細心の注意を払いました。
相談後の結果
当事務所を遺言執行者として指定いただいたことで、基本的に相続手続をすべて代行できることが大きな安心につながったような印象でした。
この事例で専門家が関わった意味
今回の事例で専門家が関わった大きな意味は、紛争対策、遺留分、相続税対策をまとめて行えたことと、将来生じうる問題点を明確にできたことで不安が軽減され、結果的に大きな安心感を与えることができたことです。
同じようなお悩みをお持ちの方へ
お子様がいらっしゃらないご夫婦の場合や先妻の子がいる場合は、特に遺言書作成の必要性が高く、遺言書の有無で相続手続の負担や進めやすさが大きく変わります。早めの作成をお勧めします。
