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遺言書を自分で作成し法務局に預ける方法|書き方と保管制度の手続き

「遺言書は自分で作成できるのだろうか」「法務局に預けられると聞いたが、何をすればよいのか分からない」という方は少なくありません。結論からお伝えすると、遺言書は自分で作成することができ、書いたあと法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を使って預けることで、紛失・改ざんといったリスクを抑えられます。この記事では、自分で作る遺言書(自筆証書遺言)の基本の書き方、保管制度を利用する場合に守るべき様式のルール、法務局へ預けるまでの手続きの流れを、司法書士事務所リーガルステーションが解説します。遺言書の種類ごとの作成方法を広く比較したい方は、まず遺言書の作成方法のページもあわせてご覧ください。

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司法書士 田中良太

結論|遺言書は自分で作成できる。法務局の保管制度を使えば紛失・改ざんを防げる

結論|遺言書は自分で作成できる。法務局の保管制度を使えば紛失・改ざんを防げる

遺言者が全文・日付・氏名を自書し押印する「自筆証書遺言」は、費用をかけずに自分ひとりで作成できる遺言書です。もっとも、民法が定める様式の要件を満たしていないと遺言書としての効力が認められず、自宅で保管すると紛失や改ざん、相続人による隠匿のおそれも残ります。そこで法務局が提供しているのが「自筆証書遺言書保管制度」です。この制度を使うと、遺言書の原本と画像データを法務局(遺言書保管所)が保管し、外形的な様式のチェックも受けられます。ただし、遺言の内容そのものが有効かどうかまで審査してもらえるわけではないため、財産の分け方や相続人の記載に不安がある場合は、司法書士や弁護士といった専門家に相談しながら進めると安心です。

自分で作る遺言書「自筆証書遺言」の基本

自筆証書遺言とは、遺言者本人が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する遺言書です。これらは民法が定める自筆証書遺言の形式的な要件でもあり、ひとつでも欠けると無効になるため、まずは基本の型を押さえておく必要があります。本文は代筆やパソコンではなく、必ず自分の手で書く必要があります。日付は「令和8年8月吉日」のような表記では作成した年月日が特定できず無効になるため、年月日を具体的に記載します。氏名は住民票など公的書類の記載どおりの本名で署名するのが原則で、本名ではなくペンネームで署名した遺言が無効と判断された裁判例もあります。押印は実印である必要はなく、認印を使っても遺言の効力に差し支えることはないとされていますが、インクが薄くなりやすいシャチハタ印は避けた方が無難です。財産目録(誰にどの財産を渡すかを示す一覧)については自書は不要とされており、パソコンで作成した目録のほか、預貯金なら金融機関名・支店名・口座番号が分かる通帳のコピー、不動産なら地番・家屋番号まで読み取れる登記事項証明書の写しを添付する方法も認められています。ただし、自書によらない目録は、そのページごとに遺言者の署名・押印が必要になる点に注意してください。

法務局の「自筆証書遺言書保管制度」とは

自筆証書遺言書保管制度とは、遺言者が作成した自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)が原本と画像データで保管してくれる制度です。令和2年に施行された「法務局における遺言書の保管等に関する法律」に基づく制度で、遺言の書き方そのものを定める民法とは別に、利用するための様式は法務省令で定められています。保管を申請すると、法務局の担当者が外形的な様式に不備がないかを確認したうえで原本を保管してくれるため、自宅保管に比べて紛失・改ざん・隠匿のリスクを大きく減らせます。また、遺言者が亡くなったことを法務局が戸籍情報などで確認すると、あらかじめ指定しておいた推定相続人・受遺者・遺言執行者のうち1名に、遺言書が保管されている旨が通知される仕組みもあります。この制度を利用した自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認の手続きが不要になる点も大きなメリットです。

保管を申請しても、遺言の内容までは審査されない

注意しておきたいのは、法務局が確認するのはあくまで様式面(用紙・余白・自書の有無など)にとどまり、遺言の内容が有効かどうか、財産の分け方が適切かどうかまでは審査してもらえないという点です。たとえば、特定の相続人の遺留分を侵害する内容になっていないか、受遺者への遺贈の書き方に不備がないかといった実質的な判断は、保管制度の外側の問題です。遺言書の内容について不明な点があっても、法務局の窓口では相談に応じてもらえません。内容面に不安がある場合は、保管を申請する前に司法書士や弁護士に相談しておくと、あとから遺言の効力が争われるリスクを減らせます。

法務局の保管制度を使う場合に守るべき遺言書の様式

法務局の保管制度を使う場合に守るべき遺言書の様式

自筆証書遺言書保管制度を利用するには、通常の自筆証書遺言の要件に加えて、次のとおり、最低限守るべき様式のルールがあります。

  • 用紙はA4サイズを使用し、筆記具は文字が消えにくいボールペンや万年筆などを使う
  • 片面のみに記載し、裏面(両面)には書かない
  • 余白は上5ミリメートル・下10ミリメートル・左20ミリメートル・右5ミリメートル以上を確保する
  • 各ページに通し番号(ページ番号)を記載する。目録が複数ページにわたる場合も、別紙として通し番号を振っておく
  • 複数ページになっても、ホチキスなどで綴じずに提出する(法務局側で保管用に処理するため、遺言者が綴じる必要はありません)

ここで紹介した様式のルールを満たすことが、保管制度を利用するための前提になります。本文を書き間違えた場合の訂正にも、民法で定められた方式があります。誤った箇所を二重線で消して押印するだけでは有効な訂正と認められないことがあり、変更した場所を指示し、変更した旨を付記したうえで署名し、変更した箇所にも押印するという決まった手順を踏む必要があります。訂正の方式を誤ると、その部分の遺言が無効になるおそれがあるため、書き間違うことのないよう下書きをしてから清書し、気付いたときは無理に訂正せず、最初から書き直すことをおすすめします。書き直しを選んだ方が、無効になるリスクを避けやすく確実です。様式に関する詳しい注意事項は法務局の窓口でも案内していますので、提出前に確認しておくとよいでしょう。

法務局に遺言書を預けるまでの流れ

自筆証書遺言書保管制度を利用する場合、大まかに次のような流れで手続きを進めます。

  1. 自筆証書遺言を作成する(様式のルールを満たしているか確認する)
  2. 保管を申請する法務局(遺言書保管所)を選ぶ。遺言者の住所地・本籍地・所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局から選べます
  3. 申請書を作成し、必要書類(本人確認書類、住民票の写しなど)を準備する
  4. 法務局へ電話やインターネットで保管の申請予約をする
  5. 予約した日に遺言者本人が法務局へ出向き、遺言書と申請書を提出する(代理人による申請はできません)。保管に係る手数料として、遺言書1通につき3,900円分の収入印紙を納付します

申請書には、遺言者の氏名や住所のほか、受遺者・遺言執行者等欄や、死亡時の通知を希望する相手を記載する欄があります。申請には遺言者本人が法務局の窓口へ行く必要があり、体調などの事情で来庁が難しい場合でも代理人による提出は認められていません。手数料の金額や必要書類の詳細、手続きの流れを示した図は法務局のホームページにも掲載されているため、実際に申請する際はあわせて確認してください。

自分で作成して法務局に預ける場合の注意点

自分で作成して法務局に預ける場合の注意点

自分で作成した遺言書を法務局に預ける方法は、公証人に依頼する公正証書遺言に比べて費用を抑えられる一方で、次のような点に注意が必要です。

  • 遺言の内容が有効かどうか、遺留分への配慮が十分かどうかは法務局では審査されない
  • 2人以上が同じ書面で作成する共同遺言は無効になる
  • ビデオレターや音声の録音は自筆証書遺言として認められない
  • 遺言執行者を指定していないと、相続開始後の手続きを相続人自身が進める負担が大きくなることがある

こうした内容面の判断は、様式さえ整えれば自動的に解決するものではありません。財産の種類が多い方や、相続人以外の受遺者への遺贈を考えている方、将来の相続トラブルを避けたい方は、作成の段階から司法書士や弁護士といった専門家に相談しておくことをおすすめします。

まとめ

遺言書は自分で作成することができ、全文・日付・氏名の自書と押印という基本要件を満たせば、自筆証書遺言として法的な効力を持たせられます。さらに法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、様式面のチェックを受けたうえで原本を安全に保管してもらえ、紛失・改ざん・隠匿のリスクや家庭裁判所での検認の手間も減らせます。ただし、用紙・余白・通し番号といった様式のルールを守ることと、遺言の内容そのものに不備がないことは別の問題です。少しでも不安な点がある場合は、自分で作成する前に司法書士などの専門家に相談し、内容面の確認を受けておくと安心です。

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