
遺言作成は法律事務所に頼める?弁護士に依頼する費用とできること・司法書士との違い
「法律事務所 遺言作成」と検索する方の多くは、遺言書の作成を弁護士に相談できるのか、費用はどのくらいかかるのか、司法書士に依頼する場合と何が違うのかを知りたいと考えています。司法書士事務所リーガルステーションが、法律事務所(弁護士)に遺言作成を依頼した場合にできること・費用の目安・メリットとデメリットを整理して解説します。
結論からいうと、法律事務所(弁護士)は遺言書の文案作成サポートだけでなく、相続人間で争いが予想される場合の代理交渉や、遺留分をめぐる法的判断まで一括して相談できる専門家です。一方で費用は司法書士に依頼する場合より高くなりやすい傾向があるため、財産の内容や家族関係に紛争性があるかどうかで依頼先を選ぶことが大切です。

結論|法律事務所(弁護士)は「遺言書のサポート+紛争対応+遺言執行」を一括して頼める専門家
法律事務所(弁護士)に遺言作成を依頼すると、遺言者の意思を確認しながら公正証書遺言・自筆証書遺言の文案を一緒にまとめてもらえるだけでなく、遺留分を侵害していないか、相続人の廃除に該当しないかといった法律的な判断についても助言を受けられます。民法が定める遺言の方式は自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つですが、法律事務所ではこのいずれの方式についても相談でき、特に相続人間で遺産分割をめぐる争いが予想されるケースや、遺留分侵害額請求などの法的リスクが想定されるケースでは、弁護士に相談しておくメリットが大きくなります。なお、どの専門家に依頼しても、民法が定める要件を満たして作成された遺言書である限り、遺言書そのものの法律上の効力に違いはありません。
似た専門家に司法書士がありますが、相続人間に紛争性がある場合の代理交渉・訴訟代理は弁護士だけができる業務です。認定司法書士が扱えるのは簡易裁判所の管轄内(訴額140万円以下)の民事事件に限られるため、財産の規模が大きい場合や、相続人同士の意見の対立が深刻な場合は、はじめから弁護士に相談しておくと手続きがスムーズに進みやすくなります。「法律事務所」には個人の弁護士事務所のほか、複数の弁護士が所属する弁護士法人も含まれ、遺言・相続分野を専門的に扱う事務所も増えています。
法律事務所(弁護士)に依頼してできること|4つのサービス
法律事務所(弁護士)が提供する遺言作成のサポートは、大きく分けて次の4つで構成されています。
- 遺言書文案の作成サポート:推定相続人や法定相続人以外への遺贈の希望、付言事項の内容を確認しながら、自筆証書遺言・公正証書遺言の原案(文案)をまとめる
- 法的リスクの助言:遺留分を侵害していないか、相続人の廃除に該当しないか、財産目録の記載に不備がないかなど、後日の争いにつながりやすい点を法的な観点から確認する
- 紛争時の代理交渉・訴訟代理:相続人間で遺産分割の意見が対立する場合や、遺留分侵害額請求が予想される場合に、遺言者や相続人の代理人として交渉・家庭裁判所での手続きに対応する
- 遺言執行:遺言者の死後に遺言執行者へ就任し、相続人へ通知したうえで、戸籍謄本の収集・相続人の確定、預貯金の解約・払い戻しや不動産・株式の名義変更、相続財産の分配までを行う
公正証書遺言を作成する場合は、遺言者本人が公証役場に出向き、証人2人以上の立ち会いのもとで公証人に内容を口述して作成します。弁護士に依頼すると、原案作成の段階から公証人との事前調整や、証人の手配まで任せられる事務所もあり、民法の要件を満たした有効な遺言書に仕上げやすくなります。2019年の民法改正で遺言執行者の権限が明文化され、遺言執行者は相続財産の処分に関する行為を単独で行えるようになったため、弁護士を遺言執行者に指定しておくと、相続開始後の名義変更などの実務がスムーズに進みやすくなります。
法律事務所(弁護士)に依頼する費用の目安

法律事務所の費用は事務所ごとに料金体系が異なりますが、遺言作成のサポートを依頼する場合、おおむね次の段階で費用がかかる仕組みが一般的です。
- 遺言書作成サポート費用:文案作成から公証人との調整までを依頼する基本費用で、内容が定型的な場合は10万円台、財産構成が複雑な場合は20万円台以上になることが多い
- 公正証書遺言の実費:公証人手数料は相続財産の額に応じて公証役場に別途支払う費用で、弁護士費用とは別にかかる
- 証人日当:公正証書遺言の作成時に必要な証人2人以上を弁護士事務所が手配する場合、証人1人あたり日当が発生することがある
- 遺言執行報酬:相続開始後、遺言執行者としての報酬で、相続財産の評価額に応じた料率(最低30万円前後からとする事務所が多い)で計算されるのが一般的
遺言執行報酬は、対象財産の評価額が大きくなるほど報酬額も上がる料率方式を採用している事務所が一般的です。財産の評価額が高額になるほど報酬額も数十万円から数百万円単位に膨らむことがある一方、財産が少額でも最低金額が設定されているため、割高に感じられることもあります。実際の料金体系は事務所によって差があるため、契約前に必ず見積りを取り、各事務所の公式サイトや相談時に最新の料金表をご確認ください。なお、相続税の申告が必要な場合、弁護士は申告書の作成までは行わないため、別途税理士へ依頼する必要があります。
法律事務所に依頼するメリット
法律事務所(弁護士)に遺言作成を依頼するメリットとしては、次のような点が挙げられます。
- 相続人間で遺産分割協議の争いや遺留分をめぐる対立が予想される場合も、代理人として交渉から家庭裁判所での手続きまで一括して任せられる
- 遺言の内容が法定相続人の遺留分を侵害していないか、特別受益の扱いに問題がないかなど、後日の紛争リスクを法的な観点からあらかじめ確認してもらえる
- 遺言執行者への就任を依頼しておけば、正本や関連書類の保管も含めて専門家が管理するため、遺言書の紛失や相続人の一人による隠匿のリスクを避けやすく、相続開始後に争いが起きても中立的な立場で執行を進めてくれる
特に、離婚歴があり前の配偶者との間に子がいる場合や、法定相続人以外の内縁のパートナー・お世話になった第三者への遺贈、法人・団体への寄付を検討している場合など、受遺者が法定相続人以外に及ぶケースでは、遺言作成の段階から弁護士に相談しておくメリットが大きくなります。財産の内容が複雑で相続税の申告も見込まれる場合は、税理士とも連携できる事務所を選ぶと安心です。
法律事務所に依頼する際の注意点・デメリット
一方で、法律事務所に依頼する前に知っておきたい注意点もあります。
- 費用が司法書士に依頼する場合より高くなりやすい傾向がある
- 不動産の相続登記(名義変更)は弁護士の本来業務ではないため、登記手続きは提携する司法書士へ別途依頼する必要がある事務所が多い
- 事務所によって相続・遺言分野の取り扱い実績に差があり、対応の丁寧さや費用感も事務所ごとに異なる
- 紛争性のない定型的な内容であれば、弁護士に依頼せずとも司法書士や公証役場の相談だけで足りる場合もある
不動産の相続登記は2024年4月から義務化されており、遺言執行とあわせて名義変更まで一括で任せたい場合は、司法書士に依頼したほうが手続きがスムーズに進むこともあります。弁護士に依頼するかどうかは、相続人間に紛争性があるか、遺留分を侵害する内容になっていないかを基準に判断すると選びやすくなります。
司法書士に依頼する場合との違い
同じように遺言書作成をお手伝いする専門職として、司法書士に依頼する方法もあります。法律事務所(弁護士)との主な違いは次のとおりです。
- 費用:司法書士への依頼は、法律事務所への依頼より初期費用・執行報酬とも抑えられる傾向がある
- 対応範囲:司法書士は公正証書遺言の原案作成のサポートに加え、不動産の相続登記(名義変更)や必要書類の収集まで一貫して対応できる
- 紛争時の対応:相続人間で紛争性がある場合、司法書士(認定司法書士)が代理できるのは訴額140万円以下の民事事件に限られ、それを超える規模や複雑な争いは弁護士でなければ対応できない
- 相談のしやすさ:地域の司法書士事務所であれば、契約後も顔の見える関係で継続的に相談しやすい
相続人間に争いがなく、財産の大半が不動産で登記手続きを一括して任せたい場合は司法書士、相続人間の意見が対立する可能性がある場合や遺留分をめぐる法的リスクを丁寧に確認したい場合は弁護士、というように、家族構成と財産の内容に応じて依頼先を使い分けるのが実務的な選び方です。なお、遺言書の原案作成だけであれば行政書士に依頼する方法もありますが、不動産の相続登記や紛争時の代理は行政書士では対応できません。
どちらに依頼すべきか|法律事務所と司法書士の向き不向き

法律事務所(弁護士)への依頼と司法書士への依頼、どちらが向いているかは、相続人間の関係性や財産の内容によって変わります。
- 法律事務所(弁護士)が向いている人:相続人間で遺産分割の意見が対立している、遺留分を侵害する内容になる可能性がある、法定相続人以外への遺贈を考えている
- 司法書士が向いている人:費用を抑えたい、相続人間に争いがなく、不動産の名義変更まで一括で任せたい
どちらの依頼先を選ぶ場合も、まずは推定相続人と財産の内容を整理し、複数の依頼先で見積りや対応範囲を比較してから決めることが、遺言作成で後悔しないための近道です。
まとめ|遺言作成の依頼先に迷ったらご相談ください
法律事務所(弁護士)は、遺言書の文案作成サポートに加え、遺留分侵害額請求など相続人間で争いが予想される場合の代理交渉や遺言執行までを一括して任せられる専門家です。一方で費用は司法書士に依頼する場合より高くなりやすく、不動産の相続登記は提携する司法書士へ別途依頼が必要になることもあります。
円満な遺産相続につなげ、円滑に手続きを進めるためにも、遺言作成の依頼先として弁護士と司法書士のどちらが向いているか、費用や対応範囲に迷った場合は、司法書士事務所リーガルステーションまでお気軽にご相談ください。
