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公正証書遺言の費用はいくら?内訳と抑え方を解説

遺言の中でも形式不備による無効のリスクが低く、原本が公証役場に保管されるため紛失・改ざんの心配もない公正証書遺言。安心感がある一方で、自筆証書遺言と違って財産の評価額に応じた公証人手数料がかかるため、総額がいくらになるのか分かりにくいという声も多く聞かれます。

この記事では、司法書士事務所リーガルステーションが、公正証書遺言を作成する場合にかかる費用の内訳を、公証人手数料の計算方法から、専門家に依頼した場合と自分で手続きする場合の総額の違い、費用を抑えるポイントまで整理します。見積もりの内訳を理解したうえで、安心して手続きを進める際の参考にしてください。

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司法書士 田中良太

公正証書遺言の費用の全体像(公証人手数料・専門家報酬・実費)

公正証書遺言の作成費用は、大きく分けて「公証役場へ支払う公証人手数料」「行政書士・司法書士・弁護士へ依頼する場合の専門家報酬」「戸籍謄本などの書類収集にかかる実費」の3つで構成されます。公証人手数料は財産の評価額に応じて全国一律の基準で決まりますが、専門家報酬は依頼先や事務所によって幅があり、自分で公証役場とやり取りして作成する場合は専門家報酬そのものがかかりません。総額は、財産の額に加えて「誰に依頼するか」によって数万円から数十万円まで変わります。

公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が遺言者の口述をもとに作成し、原本を公証役場で保管する方式です。自筆証書遺言のように自書の要件を満たさず無効になるリスクがほぼなく、家庭裁判所での検認手続きも不要なため、相続人の手続き負担を軽くできる点が特徴です。その安心感の対価として、財産の評価額に応じた手数料がかかる仕組みになっています。次の章から、費用の内訳を具体的に見ていきます。

公証人手数料の内訳と計算方法

公証人手数料の内訳と計算方法

目的の価額に応じた手数料表

公証人手数料は、公証人手数料令という政令の第9条にある別表で全国一律に定められています。手数料は遺言の対象となる財産の評価額(目的の価額)に応じて段階的に高くなる仕組みで、主な目安は次のとおりです。

目的の価額100万円以下は5000円、100万円を超え200万円以下は7000円、200万円を超え500万円以下は11000円、500万円を超え1000万円以下は17000円、1000万円を超え3000万円以下は23000円、3000万円を超え5000万円以下は29000円、5000万円を超え1億円以下は43000円が目安です。1億円を超え3億円以下の部分は5000万円ごとに13000円、3億円を超え10億円以下の部分は5000万円ごとに11000円、10億円を超える部分は5000万円ごとに8000円が加算されます。

財産を複数の相続人・受遺者に分ける場合の計算

財産を複数の相続人・受遺者に分けて遺贈する場合は、原則としてそれぞれの取得額ごとに上記の基準表に当てはめて手数料を算出し、これらを合算します。そのため、同じ財産総額でも、配分の仕方(1人に集中させるか、複数人に分散させるか)によって合計の手数料が変わることがあります。目的の価額が1億円以下の場合は、この合算額に加えて「遺言加算」として一律11000円が加算されます。正確な金額は、公証役場に財産の内訳を伝えたうえで見積もりを取るのが確実です。

出張を依頼する場合の加算

病床にいる場合など、遺言者が公証役場へ出向けず、公証人に自宅や病院まで出向いてもらう出張扱いのケースでは、通常の手数料が50%加算されるほか、日当(1日2万円、4時間以内なら1万円が目安)と交通費の実費が別途必要です。作成後、正本・謄本の交付を受ける際は、用紙1枚ごとに数百円程度の手数料が別途かかります。最新の手数料や個別の計算方法は、日本公証人連合会の公式サイトや最寄りの公証役場で確認できます。

証人の手配にかかる費用

公正証書遺言の作成には、証人2名以上の立ち会いが法律上必要です。民法974条により、未成年者、推定相続人及びその配偶者並びに直系血族(父母、祖父母、子、孫など)、遺言によって財産を受け取る受遺者及びその配偶者並びに直系血族などは証人になれないと定められています。相続に関わらない友人・知人に依頼できれば謝礼は自由ですが、身近に適任者がいない場合は、公証役場や依頼した専門家の事務所で証人を紹介してもらうこともできます。その場合、1人あたり1万円前後の手数料がかかるのが実務上の相場です。証人2名分で2万円前後が目安になると考えておくとよいでしょう。

専門家に依頼した場合と自分で手続きする場合の総額

専門家に依頼した場合と自分で手続きする場合の総額

自分で公証役場とやり取りする場合の総額

遺言の内容が固まっていて、財産の評価額の把握や必要書類の収集を自分で行える場合は、専門家に依頼せず、直接公証役場に相談して公正証書遺言を作成することもできます。この場合の総額は、公証人手数料(前述の手数料表どおり)に、戸籍謄本や固定資産評価証明書などの取得実費数千円、証人を自分で用意できなければ証人手配料を加えた金額になります。専門家報酬がかからないぶん総額を抑えやすい一方、遺留分への配慮や財産目録の記載方法など、専門的な判断が必要な部分もすべて自己責任で行うことになります。

行政書士・司法書士・弁護士に依頼した場合の総額目安

行政書士・司法書士・弁護士に、文案作成や公証役場との日程調整、証人の手配まで含めて依頼する場合は、公証人手数料に加えて専門家報酬が発生します。報酬の目安は、行政書士が3万円から10万円程度、司法書士が5万円から15万円程度、弁護士が10万円から20万円程度です(それぞれの報酬の詳しい内訳は、行政書士の費用、司法書士の費用、弁護士の費用の各ページで解説しています)。専門家に依頼すると総額は高くなりますが、形式不備による無効のリスクを抑えられるうえ、必要書類の収集や公証役場との調整を任せられる安心感があります。財産の内容が複雑な場合や、相続人間の事情に配慮した内容にしたい場合は、専門家への依頼を検討するとよいでしょう。

公正証書遺言の費用が変わる主な要素

同じ「公正証書遺言」でも、費用は次のような要素によって上下します。財産の評価額が大きいほど、また財産を複数の相続人・受遺者に分けて遺贈するほど、公証人手数料は高くなる傾向があります。不動産が複数の市区町村にまたがる場合や、相続人の数が多く戸籍謄本の収集に時間がかかる場合は、専門家に依頼したときのサポート報酬も相場の上限に近づきやすくなります。逆に、財産の内容がシンプルで、遺言者本人が公証役場まで出向ける場合は、出張加算もかからず費用を抑えられます。正式な金額は、財産の内容を公証役場や専門家に伝えたうえで見積もりを確認するのが確実です。

自筆証書遺言・秘密証書遺言との費用比較

自筆証書遺言は、遺言者本人が全文を手書きするだけで作成でき、公証人手数料がかからないため、用紙代など実質数百円から数千円の実費で済みます。法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する場合は、申請時に1件あたり3900円の手数料(収入印紙)が別途かかりますが、それでも公正証書遺言より総額を大きく抑えられます。ただし、自書・日付・氏名の自書と押印という民法の要件を1つでも満たさないと法的効力が認められず無効になるリスクがあり、自宅保管では紛失・改ざんの心配も残ります。

秘密証書遺言は、遺言者が内容を誰にも見せずに作成し、公証人と証人2名以上の前で自分の遺言であることのみを証明してもらう方式です。公証人は内容を確認しないため、手数料は財産の額にかかわらず一律11000円で、公正証書遺言のような目的の価額に応じた加算はありません。ただし内容を公証人がチェックしないぶん、自筆証書遺言と同様に形式不備があっても気づかれないまま有効に成立してしまう可能性があり、遺言者が亡くなると家庭裁判所へ検認を申し立てる手続きも必要になるため、費用の安さの割にリスクが残り、実務で選ばれる場面は限定的です。

費用だけを見れば自筆証書遺言が最も安く、公正証書遺言は最も高くなりますが、公正証書遺言は原本が公証役場に保管されるため紛失・改ざんの心配がなく、家庭裁判所での検認も不要という利点があります。亡くなった後は、公証役場の遺言検索システムで相続人が遺言の有無を確認することもできます。手数料は、この安心感に対する対価と考えるとよいでしょう。

公正証書遺言の費用を抑える・後悔しないためのポイント

公正証書遺言の費用を抑える・後悔しないためのポイント

公正証書遺言の費用を抑えたい場合は、財産目録や必要書類を自分であらかじめ整理しておき、専門家に依頼する範囲を文案の確認など最小限に絞る方法があります。証人についても、相続に関わらない友人・知人に依頼できれば、事務所紹介の証人手配料を抑えられます。体調に問題がなければ公証役場へ出向いて作成することで、出張加算(手数料50%増・日当・交通費)を避けることもできます。

一方で、費用の安さだけを優先すると、財産の評価額の算定を誤って手数料の見積もりが後から変わったり、遺留分への配慮が不足して相続人間の紛争に発展したりして、結果的に負担が増えることもあります。依頼前には、公証人手数料の対象になる財産の範囲、出張・証人手配による加算条件まで確認しておくと安心です。なお、遺言は生前であれば何度でも内容を撤回・取り消し・変更ができますが、認知症などで判断能力が低下すると新たに有効な遺言を作ることができなくなるため、早めに準備しておくことが大切です。

まとめ|公正証書遺言の費用は手数料表と依頼先の組み合わせで決まる

公正証書遺言の作成費用は、財産の評価額に応じて決まる公証人手数料に、証人手配料や書類収集の実費が加わり、専門家に依頼する場合はさらに報酬が上乗せされます。財産の評価額や配分の仕方、依頼先によって総額は変わるため、見積もりの内訳を確認しながら比較することが大切です。安心感を重視して公正証書遺言を選ぶか、費用を抑えて自筆証書遺言を選ぶか迷う場合や、ご自身の財産状況に合った依頼先をお探しの場合は、司法書士事務所リーガルステーションまでお気軽にご相談ください。

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