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遺言作成後に取得した財産はどうなる?記載のない財産の扱いと対策

「遺言作成後に取得した財産」と調べてこの記事に来た方の多くは、以前作った遺言書に書いていない財産が増えた、または減ったときに、その遺言書がどう扱われるのか気になっています。結論からお伝えすると、遺言作成後に新たに取得した財産は、遺言書に「その他の財産」をまとめて指定する旨の条項(包括的な文言)があるかどうかで、その後の扱いが大きく変わります。この記事では、記載のない財産が見つかったときに起こること、条項の有無による違い、財産が変わったときに取るべき対応を、司法書士事務所リーガルステーションが解説します。

司法書士 田中良太

この記事の監修者

司法書士 田中 良太千葉県司法書士会 登録 第1702号

相続・遺言の面談を3,000人以上経験。最初から最後まで司法書士本人が対応します。

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結論|記載のない財産は「その他の条項」の有無で結果が変わる

結論|記載のない財産は「その他の条項」の有無で結果が変わる

遺言書は、作成した時点で遺言者が把握していた財産を前提に書かれています。そのため、作成後に新たに取得した不動産や預貯金、退職金などの財産は、遺言書に個別の記載がないまま相続が始まることが少なくありません。このとき、遺言書に「その他の財産は〇〇に相続させる」といった旨の包括的な条項が入っていれば、新たに取得した財産もその条項に沿って指定した相続人に承継されます。一方、こうした条項がない場合、記載のない財産は遺言の効力が及ばない財産として扱われ、相続人全員による遺産分割協議で分け方を決める必要が生じます。

どちらに当たるかによって、相続人の負担や手続きの進み方、揉め事が起きる可能性が大きく変わります。まずは自分や家族の遺言書に、包括的な条項があるかどうかを確認しておくことが第一歩になります。

なぜ遺言作成後に財産が変わるのか|典型的なケース

なぜ遺言作成後に財産が変わるのか|典型的なケース

遺言は一度作成すれば終わりではなく、作成当時から被相続人が亡くなるまでの間に、財産の内容は変化していきます。典型的なのは、退職金を受け取った、自宅を売却した、建物を建て替える、土地を新たに取得した、預金口座を新たに開設して残高が増えた、株式投資を始めた、親族から生前贈与を受けた、生命保険の受取人を変更した、といったケースです。こうした財産の変化は誰にでも起こり得ますが、特に退職や住み替えといった人生の節目で生じやすい傾向があります。財産の変化そのものを防ぐことはできないため、遺言書の側であらかじめ変化に対応できる書き方をしておくかどうかが重要になります。

記載のない財産をカバーする「その他の財産」条項とは

記載のない財産をカバーする「その他の財産」条項とは

「その他の財産は、全て妻に相続させる」「死亡時に有する財産を全て〇〇に相続させる」のように、個別の財産を列挙せず、死亡時点で存在する財産全体を対象とする旨の包括的な条項を遺言書に付すと、遺言作成後に取得した財産も、その条項に沿って指定した相続人に承継させることができます。目的物を個別に限定しないことで、将来の財産変動も包括的にカバーする趣旨と理解されるためです。

不動産を個別に指定する場合は地番・家屋番号まで正確に

不動産を特定の相続人に相続させる、または遺贈する場合は、住所表記ではなく、登記簿(登記事項証明書)に記載された地番・家屋番号まで正確に書き写しておく必要があります。記載が不正確だと、相続開始後の所有権移転登記の申請で支障が出ることがあります。なお、不動産を取得した後に建て替えるなど内容が変わった場合は、登記事項も変わるため、遺言書の記載を見直すきっかけにするとよいでしょう。

主要財産の列挙と包括条項を組み合わせる場合の注意点

不動産や預貯金など主要な財産を個別に列挙したうえで、「その他の一切の財産」という包括的な文言を付け加える書き方もよく使われます。ただしこの場合、列挙した財産のみを対象とする趣旨なのか、列挙した財産を含む全部を対象とする趣旨なのかが文言から一つに定まらず、相続人同士で解釈を巡る争い・紛争に発展する可能性があります。実際に、この種の条項をどう解するべきかが争われた判例・判決もあり、作成当時の事情など特段の事情が認められない限り、文言どおりに解釈されるのが基本的な考え方です。同種の書き方をする場合は、作成段階で司法書士や弁護士に文言を確認してもらうことをおすすめします。

包括遺贈と特定遺贈の違い

相続人以外の人(内縁の配偶者や、お世話になった知人など)に財産を遺贈する場合は、特定の財産を指定する「特定遺贈」と、財産の全部または一定の割合を指定する「包括遺贈」のどちらを使うかによっても、後から取得した財産の扱いが変わります。包括遺贈は財産の割合で指定するため、作成後に増減した財産も遺贈の対象に含まれ、受遺者が負担する義務の範囲も相続人に準じます。一方、特定遺贈は、当該財産が遺言者の死亡時点で遺言者の財産に属していなかった場合(売却済みなどで存在しなくなっていた場合)、遺贈そのものの効力が生ずることなく終わる可能性があります。

条項がない場合|記載のない財産は遺産分割協議の対象になる

条項がない場合|記載のない財産は遺産分割協議の対象になる

遺言書に包括的な条項がなく、特定の財産だけを列挙して「相続させる」と書いてある場合、記載のない財産(たとえば長男に相続させる自宅以外に、作成後に取得した株式があるようなケース)は、遺言の効力が及ばない相続財産として扱われ、帰属が定まらないまま相続が始まることになります。この財産については、遺言がなかった場合と同じように、法定相続人(推定相続人)全員の話し合いである遺産分割協議で分け方を決める必要があります。相続人全員の合意が成立すれば、民法が定める法定相続分とは異なる分け方をすることも可能で、不動産など分けにくい財産は売却して得た金銭で分ける「換価分割」を選ぶこともできます。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停・審判に進むこともあります。遺言書の対象となった財産とならなかった財産が混在することで、相続人同士の間で揉める原因になりやすい点には注意が必要です。

なお、相続人以外の人に財産を渡す意図があった場合、その人は遺産分割協議に参加する権利がないため、記載のない財産については一切受け取れません。渡したい相手に法定相続人以外の人がいる場合は、包括的な条項の重要性がより高くなります。また、ほかの相続人の遺留分を侵害する内容になっていないかも、条項を付け加える際にあわせて確認しておくと、遺留分侵害額請求権の行使による後々の紛争を避けやすくなります。借金などマイナスの財産が多く、相続放棄を検討する相続人がいる場合は、記載のない財産の扱いよりも先にそちらの判断が必要になる点も押さえておきましょう。

財産が変わったときにすべきこと|見直し・書き直しの考え方

財産が変わったときにすべきこと|見直し・書き直しの考え方

遺言は生前であれば何度でも新しい遺言書を作成して、前の内容を見直すことができます。民法1023条では、新しい遺言と古い遺言の内容が抵触する部分について、日付が後になる新しい遺言が優先し、古い遺言はその限度で撤回されたものとみなすと定められています。ただし抵触する部分が明確でない場合、どこまでが撤回されたのか解釈上の混乱が生じることもあるため、実務上は新しい遺言に明記する形で、古い遺言書を破棄し全文を撤回する旨の条項を付すことが望ましいとされています。遺言者が亡くなる前であれば、何度でも書き直すことができる点は覚えておいてください。

見直しのタイミングの目安

退職金を受け取った、不動産を売買した、建物を建て替える、銀行口座を新たに開設・解約した、相続人となる家族の人数が変わった、疎遠だった親族と関係が変わった、といった財産や家族構成の変化があったときは、そのタイミングで遺言書の内容を見直すとよいでしょう。自筆証書遺言を一通り仕上げるまでの進め方そのものは、別記事「自筆証書遺言の書き方の進め方」でも触れていますが、あちらは作成の手順を解説したもので、作成後に財産が変わった場合に法的・法律上どう扱われるかは、この記事で詳しく説明している内容になります。

定期的に内容を確認する習慣をつける

一度遺言書を作成すると、その後何年も内容を見返さないままになりがちです。数年に一度など、定期的に財産目録や登記簿の記載内容を棚卸しし、記載漏れがないかを確認する習慣をつけておくと、不測の事態による記載のない財産の発生を抑えられます。法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用している場合も、保管後に書き直す際は別途、新しい遺言書を作成して申請する必要がある点は変わりません。

作成時点からできる対策|公正証書遺言と専門家への相談

作成時点からできる対策|公正証書遺言と専門家への相談

財産の種類や金額が多い方、将来的に財産の変動が見込まれる方は、作成の段階から包括的な条項を付しておくこと、また公証人が遺言者本人の意思能力や意思を確認しながら作成する公正証書遺言を選ぶことが、記載のない財産によるトラブルを避ける実質的な対策になります。自筆証書遺言は紙とペンがあれば自分で書くことができる手軽さがありますが、公正証書遺言は公証役場で手数料を支払い、証人2人以上の立会いのもとで作成する分、準備に手間がかかる一方で、文言の解釈を巡る争いが起きにくく、様式面の不備で条項が無効と判断されるおそれもほとんどありません。自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらが向いているかの具体的な判断基準は、別記事「自筆証書遺言と公正証書遺言の違いと選び方」で解説しています。なお、内容を誰にも知られたくない場合は秘密証書遺言という方式もありますが、記載のない財産の扱いという点では自筆証書遺言・公正証書遺言と同じ注意が必要です。

すでに作成した遺言書に包括的な条項がないことに気づいた場合は、記載のない財産の金額や、相続人同士の関係性によって対応の優先度が変わります。新たに取得した財産の名義変更や遺言執行者の選任まで含めて不安が残る方は、自分だけで判断せず、早めに司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。家族信託など、遺言以外の方法で財産の承継を決めておく選択肢もありますので、財産の種類によっては併せて検討してみてください。

まとめ|財産の変化に気づいたら早めの見直しを

まとめ|財産の変化に気づいたら早めの見直しを

遺言作成後に新たに取得した財産は、遺言書に「その他の財産」をまとめて指定する旨の包括的な条項があれば指定した相続人に承継され、条項がなければ相続人全員の遺産分割協議で分け方を決めることになります。退職金の受給や不動産の売買など、財産が変わるきっかけは誰にでも起こり得るため、作成時点から包括的な条項を付しておくこと、そして財産や家族構成が変わったタイミングで内容を見直すことが、記載のない財産によるトラブルを避ける最も確実な方法です。遺言書作成は遺産相続のトラブルを防ぐための備えでもあります。遺言者が亡くなった(他界した)後に記載のない財産が見つかった方、遺言書の内容が法律上どう扱われるか不安がある方は、司法書士事務所リーガルステーションまで、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

司法書士 田中良太

田中 良太司法書士

保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士・測量士補・簡裁訴訟代理等能力認定
所属
千葉県司法書士会(個人登録番号 第1702号/簡裁訴訟代理認定 第1401013号)
学歴
同志社大学 法学部 法律学科 卒業
経歴
相続を主とする司法書士事務所に勤務しながら司法書士試験に合格。債務整理・不動産登記・相続と、業務の異なる4つの司法書士事務所で10年以上の実務を経験
実績
相続・遺言の面談3,000人以上
専門
相続・生前対策に特化。税理士・弁護士などの専門家と連携し、遺言書の作成から相続後の手続きまで対応
お客様目線に立った、親切で正直な対応をお約束します。手続きのデメリットやリスクも、包み隠さずお伝えします。

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