自筆の遺言書作成|準備から保管までの進め方
「遺言作成 自筆」で検索してこの記事に来た方の多くは、自筆証書遺言を自分で作ろうと決めたものの、実際に何から手を付け、どの順番で進めればよいか分からず迷っています。結論からお伝えすると、自筆証書遺言は「準備(財産と渡す相手を決める)→下書き(書く順番を決める)→清書(一度で書き切る)→保管(自宅か法務局の保管制度かを選ぶ)」という4つの段階に分けて進めると、迷いなく最後まで仕上げられます。この記事では、各段階で具体的に何を用意し、どれくらいの時間を見ておけばよいかを、司法書士事務所リーガルステーションが順番に解説します。

結論|自筆証書遺言は「準備→下書き→清書→保管」の4段階で進める

自筆証書遺言は、遺言者本人が全文・日付・氏名を自分の手で書き、押印することで成立する遺言書です。この要件は民法が定めるもので、ひとつでも欠けると、遺言者本人の意思を示した書面であっても法的に有効な遺言とは認められません。証人や公証人を必要とせず、紙とペンがあれば今日から取りかかれる手軽さが特徴ですが、何を先に決め、どの順番で書けばよいかが分からないまま始めると、途中で手が止まったり、書き終えてから記載漏れに気づいたりしがちです。準備・下書き・清書・保管の4段階に分けて、ひとつずつ片付けていく進め方を押さえておきましょう。それぞれの段階で守るべき具体的な要件や財産ごとの文例は、別記事「自筆証書遺言の書き方|4つの要件と財産ごとの文例」で詳しく解説していますので、書きながら確認する際にあわせてご覧ください。
ステップ1|準備する|財産を把握し、誰に何を渡すかを決める

最初に取りかかるのは、本文を書くための材料集めです。所有している不動産・預貯金・株式などの財産を一覧にし、誰に何を渡すか(法定相続人には「相続させる」、相続人以外には「遺贈する」)を決めておきます。財産の種類や相続人の数が少ない方であれば半日から数日、不動産や金融資産の種類が多い方、相続人以外への遺贈を考えている方は、登記事項証明書や口座情報を集める時間も含めて1〜2週間程度を見ておくと安心です。この段階で、自分のケースが自筆証書遺言で足りるのか、公正証書遺言のほうが向いているのかも一度立ち止まって考えておくと、後の工程で迷いにくくなります。判断に迷う場合の目安は、別記事「自筆で遺言書を作成するメリット・デメリット|公正証書遺言との違いと選び方」で紹介していますので、あわせてご確認ください。
ステップ2|下書きを作る|書く順番を決めておくと迷わない
本文を書く順番の目安
下書きの段階では、文章の完成度よりも「何をどの順番で書くか」を先に固めておくことが、迷わず進める近道です。一般的には、前文(遺言の趣旨を書く一文)、財産に関する条項(誰に何を渡すか)、遺言執行者の指定、家族へのメッセージとなる付言事項、最後に日付と氏名という順番で書き進めると、本文の抜け漏れを防ぎやすくなります。財産の種類ごとの具体的な書き方の文例は、別記事「自筆証書遺言の書き方」にまとめていますので、下書きを書く際の手元に置いて進めてください。
下書きの段階で確認しておくこと
下書きが一通り書けたら、全文・日付・氏名を自分の手で書いているか、押印を忘れていないか、日付を「吉日」のようにあいまいにしていないかを、清書に進む前に確認します。この段階で誤字脱字や記載漏れに気づいておけば、清書でのやり直しを減らせます。財産目録だけはパソコンでの作成や資料のコピー添付が認められていますが、本文はこの段階でも手書きで書いておくと、清書での書き写しがスムーズになります。
ステップ3|清書する|一度で書き切る心構えで訂正を避ける

下書きの内容が固まったら、清書用の用紙に書き直します。自筆証書遺言の訂正には、変更箇所を指示し変更した旨を付記して署名・押印するという厳格な方式があり、慣れていないと訂正そのものが無効と判断されるおそれもあります。清書の途中で書き間違えた場合は、訂正の方式に従うよりも、最初から書き直すほうが無効になるリスクを避けやすく確実です。清書にかかる時間は内容量によって変わりますが、下書きがすでに固まっていれば数時間程度で書き終えられることが多いです。訂正の正しい方式を詳しく知りたい方は、別記事「自筆証書遺言の書き方」をご確認ください。
ステップ4|保管方法を選ぶ|自宅保管と法務局の保管制度

法務局の自筆証書遺言書保管制度を使う場合の流れ
書き終えた遺言書は、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して預けることができます。利用する場合は、まず保管を申請する法務局(遺言者の住所地・本籍地、または所有する不動産の所在地を管轄する法務局)へ事前予約を取り、本人確認書類や住民票など必要書類を準備したうえで、遺言者本人が法務局の窓口へ出向いて申請します。申請時には手数料がかかり、審査を経て保管証を受け取るまでが一連の流れです。予約から保管証の受け取りまでは、書類に不備がなければ数週間程度を見込んでおくとよいでしょう。申請に必要な書類の詳細や当日の手続きは、別記事「遺言書を自分で作成し法務局に預ける方法」で詳しく解説していますので、申請の段階になったらあわせてご確認ください。手続きの最新情報は法務局のホームページでも確認できます。
自宅で保管する場合に気をつけること
保管制度を使わず自宅で保管する場合、紛失のほか、相続人の誰かによる偽造・改ざん・隠匿のリスクが残ります。遺言者の死後、相続人が遺言書を見つけたら家庭裁判所の検認の手続きが必要になり、封印されている遺言書を家庭裁判所外で勝手に開封すると過料を科されるおそれもあります。遺言書が本人の知らないところで書き換えられたのではないかと疑われるトラブルについては、別記事「遺言書を勝手に作成された疑いがあるときの対応」で解説していますので、心当たりがある方はあわせてご確認ください。
完成後にすること|家族への伝え方と見直しのタイミング
遺言書を書き終えたら、どこに保管したかを家族や遺言執行者に指定した人に伝えておくと、せっかく書いた遺言書が見つからないという事態を防げます。法務局の保管制度を利用する場合は、遺言者の死後にあらかじめ指定した相手へ保管の事実が通知される仕組みもあります。また、結婚や離婚、子の出生、財産状況の変化があったときは、そのタイミングで内容を見直すとよいでしょう。遺言書は生前であれば何度でも書き直せますが、書き直すたびに新しい用紙に全文を書き直す必要があります。撤回・書き換えの具体的なルールは、別記事「自筆で遺言書を作成するメリット・デメリット」でも紹介しています。
自分で進めるのが不安なときは専門家に相談する
財産の種類や金額が多い方、相続人以外への遺贈を考えている方、相続人同士の話し合いが難航しそうな方は、準備の段階でつまずきやすく、本文を書き終えても内容面の不安が残ることがあります。こうしたケースに当てはまるかどうかの具体的な目安は、別記事「自筆で遺言書を作成するメリット・デメリット」にまとめていますので、該当する場合は、作成の初期段階から司法書士や弁護士に相談しておくと安心です。
まとめ|進める順番を決めておけば、自筆でも迷わず仕上げられる

自筆証書遺言は、準備(財産と相手を決める)→下書き(書く順番を決める)→清書(一度で書き切る)→保管(自宅か法務局の保管制度かを選ぶ)という4つの段階に分けて進めると、何から手を付ければよいか迷うことなく、法的に有効な遺言書を書面として仕上げられます。各段階の具体的な書き方や判断に迷う点は、このページから別記事へリンクしていますので、進めながら確認してください。自筆での進め方に不安が残る方、内容面の判断に迷う方は、司法書士事務所リーガルステーションまで、お気軽にご相談ください。
