無料相談窓口047-770-0320平日9:30~19:30(定休日なし)

遺言書作成の報酬はなぜ違う?内訳の読み方と比較のポイント

遺言書を公正証書遺言で作る場合も、自筆証書遺言の文案だけを相談する場合も、行政書士・弁護士・司法書士といった専門家に依頼すると「報酬」が発生します。同じ「遺言書作成を依頼する」という内容でも、ある事務所は5万円、別の事務所は30万円というように報酬額に数万円から数十万円の差が出ることがあり、金額だけを見ると何が違うのか分かりにくいものです。

この記事では、司法書士事務所リーガルステーションが、専門家に払う「報酬」が実費や公証人手数料とどう違うのか、報酬額に差が出る理由、見積書に書かれた報酬の内訳の読み方、作成時の報酬とは別に発生する遺言執行報酬まで整理します。行政書士・弁護士・司法書士それぞれの報酬相場は別記事「遺言書作成費用相場」、見積もりを比較するときの3つの軸は別記事「遺言書作成費用比較」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

お気軽に御相談ください

相続の専門家である司法書士が、 ご相談から遺言書完成、
その後の相続まで見据えてサポートします。

今すぐ無料で相談する
司法書士 田中良太

遺言書作成の「報酬」とは何を指すか|実費・手数料との違い

遺言書作成の「報酬」とは何を指すか|実費・手数料との違い

遺言書作成にかかるお金は、大きく3つに分けられます。1つ目は行政書士・弁護士・司法書士など専門家に支払う「報酬」、2つ目は公正証書遺言や秘密証書遺言を選んだ場合に公証役場へ支払う「公証人手数料」、3つ目は戸籍謄本や住民票、固定資産税の納税通知書、登記事項証明書といった書類の取得にかかる「実費」です。このうち専門家報酬だけは、自分で遺言書を作成して専門家に依頼しない場合には発生しません。遺産相続に関する相談を専門家にするかどうかを考えるうえでも、報酬がどの業務の対価なのかを先に理解しておくと判断しやすくなります。

自筆証書遺言は、遺言者本人が財産目録以外の全文を自書し、日付・氏名を自書して押印すれば成立するため、専門家に依頼しなければ報酬はかからず、実費も戸籍謄本などの数千円程度で済みます。ただし全文の自書と押印という民法が定める要件(書き方のルール)を1つでも欠くと、有効な遺言書として扱われず無効になり、自宅で保管すると紛失・改ざんのリスクも残るため、相続開始後は家庭裁判所での検認という手続きが必要です。法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば原本は法務局で保管され検認も不要になりますが、別途1件あたり3900円の申請手数料がかかります。

公正証書遺言と秘密証書遺言は、公証役場で公証人の関与を受けて作成するため、専門家に依頼するかどうかにかかわらず、公証人手数料令に基づく手数料が別途かかります。公正証書遺言は目的の価額に応じて段階的に高くなり、秘密証書遺言は財産額にかかわらず一律11000円です。相続人以外の人への遺贈を含む場合は、公証人手数料が受け取る人ごとに価額を算出して合算されるため、同じ財産総額でも配分の仕方によって実費の金額が変わる点も押さえておくと安心です。専門家報酬は、このうちあくまで「文案の作成や書類収集を代わりに行ってもらう対価」であり、公証役場に払うお金とは支払う相手も性質も異なります。遺言書があれば、原則として相続人全員による遺産分割協議を省略できる点も、費用対効果を考えるうえでの判断材料になります。

同じ「遺言書作成」でも専門家によって報酬額に差が出る理由

行政書士・弁護士・司法書士のいずれに依頼しても「遺言の文案を作り、必要な書類を揃えて公正証書遺言の作成をサポートする」という基本的な業務内容は大きく変わらないように見えますが、実際の報酬額には数万円から数十万円の開きが出ることがあります。報酬が高い依頼先にはそれだけ対応範囲が広いというメリットがある一方、相談内容がシンプルな場合は報酬を抑えられる依頼先の方が費用面のデメリットが小さくなることもあり、報酬の違いが生まれる主な理由は次の3つです。

業務として対応できる範囲が違う

行政書士は権利義務に関する書類の作成を本来業務とする士業で、遺言の文案作成や戸籍謄本などの収集代行を得意としており、報酬は3万円から10万円程度を目安とする事務所が多く見られますが、相続発生後の不動産の名義変更(相続登記)の代理や、相続人間に争いがある場合の代理交渉はできません。司法書士は不動産の名義変更まで見据えた相談に対応できる点が行政書士と異なりますが、紛争性の高い代理交渉は業務範囲外である点は共通しています。弁護士だけが、遺留分を侵害する内容の遺言をめぐって遺留分侵害額請求のような紛争に発展した場合でも、代理人として交渉・訴訟対応まで引き受けられるため、対応できる業務範囲の広さが報酬に反映されやすくなります。

紛争への対応力・代理権の有無

相続人同士が疎遠である、過去に金銭トラブルがある、遺留分を侵害する配分になりそうといった事情がある場合、将来的に紛争へ発展するリスクを見込んで、最初から弁護士に依頼する方もいます。弁護士費用はかつて日本弁護士連合会が報酬基準を定めていましたが、2004年にこの基準は廃止され、現在は各法律事務所が自由に報酬を設定しています。紛争性の高い案件にも対応できる体制を整えている事務所ほど、作成時点の報酬にもその分の人員体制のコストが織り込まれやすくなります。

保証・フォロー体制とブランド(信託銀行の遺言信託)

信託銀行が提供する遺言信託は、遺言書の作成サポートから正本の保管、相続開始後の遺言執行までを一つの窓口でまとめて引き受けるサービスで、契約時の手数料だけで30万円から50万円程度、執行時にはさらに高額な執行報酬が別途発生することが多く見られます。士業に個別に依頼するより総額は高くなりやすい一方、資産の管理や承継まで長期的に任せられる安心感や、金融機関としての信用力の分だけ報酬が高めに設定されていると考えると理解しやすくなります。

見積書の報酬はどう組み立てられているか|基本報酬と加算報酬の構造

見積書の報酬はどう組み立てられているか|基本報酬と加算報酬の構造

見積書に書かれている専門家報酬は、多くの場合「基本報酬」と「加算報酬」の2段階で構成されています。基本報酬は、遺言の内容についての相談対応や文案作成など依頼内容の基本部分に対する報酬で、定額制の事務所も業務を積み上げて算定する事務所も、この部分から報酬が発生します。加算報酬は、相続人・受遺者の数が一定数を超える場合、相続財産の種類(不動産・未上場株式・事業用財産など)が複数にまたがる場合、公証人に自宅や病院まで出張してもらう場合の日当・交通費、証人を事務所や公証役場に紹介してもらう場合の謝礼など、依頼内容によって増減する部分に発生します。

公証人が出張する場合は、公証人手数料令に基づき手数料が50%加算されるほか、日当(1日2万円、4時間以内なら1万円が目安)と交通費の実費が別途必要になります。この加算分を専門家報酬と区別せずに提示する見積書もあるため、公証役場に払う手数料部分と専門家報酬部分が分かれているかを確認すると、総額の内訳を正確に把握しやすくなります。加算報酬が発生する条件が見積書にどう記載されているかも、依頼前に確認しておきたい注意点です。正本・謄本を通常より多い枚数で交付してもらう場合の手数料や、相続財産の評価証明書・登記事項証明書などを多数取得する場合の実費も、見積もりの前提条件によって変動します。最新の手数料の基準は、日本公証人連合会のウェブサイトや最寄りの公証役場でも確認できます。

公正証書遺言や秘密証書遺言の作成には証人2名以上の立ち会いが必要で、民法974条により未成年者や推定相続人及びその配偶者並びに直系血族(父母、祖父母、子、孫など)、受遺者及びその配偶者並びに直系血族などは証人になれないと定められています。相続に関わらない友人や知人に無償で引き受けてもらえる場合は謝礼は不要ですが、公証役場や専門家の事務所で紹介してもらう場合は、証人1人あたり1万円前後の謝礼が加算報酬として見積もりに含まれるのが実務上の相場です。

作成時の報酬と、死後に発生する「遺言執行報酬」は別建て

作成時の報酬と、死後に発生する「遺言執行報酬」は別建て

遺言執行者とは、遺言者が亡くなったあとに遺言の内容を実現するため、相続人への通知、財産目録の作成、預貯金の解約、不動産の名義変更などの手続きを行う人のことです。遺言執行者になること自体に資格の制限はなく相続人本人が務めることもできますが、相続人間の調整が必要な場合や手続きが複雑な場合は、遺言作成に関わった行政書士・弁護士・司法書士をあらかじめ遺言執行者に指定しておくケースも多く見られます。

遺言執行者への報酬は、作成時の専門家報酬とは発生するタイミングも算定方法も別物です。専門家が執行者に就任する場合の報酬は、かつて日本弁護士連合会が定めていた旧報酬基準を目安にしている事務所が多く、遺産の経済的利益の額が300万円以下なら一律30万円、300万円を超え3000万円以下なら2%の割合に24万円を加えた額が目安とされていました。現在はこの基準の使用が義務付けられているわけではなく、事務所ごとに独自の報酬体系を設けていることもあります。信託銀行の遺言信託は、執行報酬の最低額が専門家より高めに設定されていることが多いため、作成時の契約手数料が同程度に見えても、執行報酬まで含めた総額は依頼先によって差が大きくなります。

作成時の報酬が安く見えても、遺言執行者への報酬が高額に設定されていると、相続発生後に相続人が想定より重い負担を感じることがあります。作成を依頼する段階で、執行報酬の算定方式(定額か、遺産の価額に応じた割合制か)や、誰を遺言執行者に指定するかまであわせて確認しておくと、死後の手続きで行き違いが起きにくくなります。

報酬を比較するときに、金額以外に確認しておきたいこと

複数の事務所から見積もりを取る際、報酬の総額だけを横に並べて比較すると、基本報酬にどこまでの業務が含まれているか、加算報酬が発生する条件は何かが事務所ごとに異なるため、正確な比較になりません。見積もりを依頼する前に、相続財産の内容(不動産・預貯金・未上場株式の有無)、相続人・受遺者の人数と関係性、遺留分への配慮が必要かどうかを整理しておくと、各事務所から提示される報酬の前提条件を揃えやすくなります。

遺留分を侵害する可能性がある配分や、相続人間で意見が分かれそうな事情がある場合は、報酬の金額だけでなく、紛争に発展したときにその事務所がどこまで対応できるかも確認材料になります。相続財産の額によっては相続税の申告が必要になることもあるため、税理士との連携が必要になりそうな規模の財産がある場合は、税理士と連携できる体制かどうかも、報酬の高い・安いとは別の判断材料です。報酬の仕組みや個別の見積金額の妥当性については、最終的には依頼を検討している事務所に直接確認し、必要に応じて司法書士・弁護士・税理士といった専門家にご相談ください。

まとめ|報酬の金額だけでなく、何にその報酬を払っているかを見る

遺言書を書く際にかかる専門家報酬は、文案作成や書類収集代行の対価として専門家に支払うお金であり、公証役場へ支払う公証人手数料や、戸籍謄本などの取得にかかる実費とは別物です。報酬額に差が出るのは、対応できる業務範囲や紛争対応力、保証・フォロー体制が依頼先によって異なるためで、見積書も基本報酬と加算報酬の2段階で構成されています。さらに、作成時の報酬とは別に、死後に発生する遺言執行報酬まで含めて比較することが、依頼先選びで後悔しないポイントです。なお、いずれの依頼先に頼んだ場合でも、家族への感謝を伝える付言事項を遺言書に添えることができ、法的効力はありませんが遺産分割の理由を書き添えることで相続人同士の受け止め方が和らぐこともあります。行政書士・弁護士・司法書士それぞれの報酬相場は別記事「遺言書作成費用相場」、行政書士報酬の3つの算定方式は別記事「行政書士の遺言書作成報酬」でも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。報酬の内訳や、ご自身の状況に合った依頼先について相談したい方は、司法書士事務所リーガルステーションまでお気軽にお問い合わせください。

お気軽に御相談ください

相続の専門家である司法書士が、 ご相談から遺言書完成、
その後の相続まで見据えてサポートします。

今すぐ無料で相談する
司法書士 田中良太