
公証役場に払う遺言書作成費用は、書き直し・再発行のたびにいくらかかる?
「公証役場 遺言書作成費用」で調べる方の中には、すでに費用の目安を一度確認した上で、「遺言の内容を後から変えたくなったらどうなるのか」「作成日を一度キャンセルしたら費用はどうなるのか」といった、作成時以外の場面での費用を気にしている方も少なくありません。
この記事では、司法書士事務所リーガルステーションが、公証役場に払う費用が「作成時の1回」で終わらない場面に絞って解説します。遺言書を書き直す場合の費用、文案提出後に内容を変更した場合の扱い、当日の支払い方法、作成後に正本・謄本を追加で取る場合の費用までを取り上げます。手数料そのものの内訳や、専門家に依頼した場合の流れ全体は、本文中でご紹介する関連記事もあわせてご確認ください。

公証役場に払う費用は「作成時の1回」で終わらないことがある
公証役場に支払う手数料は、公証人手数料令という政令にもとづき、遺言で受け取る財産の評価額(目的の価額)に応じて決まります。手数料そのものの内訳や、公証役場を選ぶときの考え方、作成当日までの流れ、専門家に依頼した場合の報酬との違いは遺言書作成費用 公証役場の記事で解説しているので、費用の全体像を先に確認したい方はそちらをご覧ください。
この記事で扱うのは、公証役場に払う費用が、作成時だけでなく、書き直しや再発行などの場面でもう一度発生することがある点です。公正証書遺言を一度作成したあとも、ライフイベントの変化で内容を見直したくなる場面は珍しくなく、そのたびに費用がどうなるのかを知っておくと、後から慌てずに済みます。
遺言を書き直すと、公証役場の費用はもう一度かかる

前の遺言を書き直す・取り消すための法律上の仕組み
民法第1022条では、遺言者はいつでも、遺言の方式に従ってその遺言の全部または一部を撤回できると定められています。また第1023条では、前の遺言と後の遺言の内容が抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなすとされています。つまり、公正証書遺言を作り直したい場合は、前の遺言を取り消す手続きを別に行う必要はなく、前の遺言に関する書類を新たに提出する必要もありません。新しい公正証書遺言を作成すれば、内容が重なる部分は後の遺言が優先される仕組みになっています。
書き直しの手数料は、新規作成と同じ考え方で計算される
日本公証人連合会が公表している公証人手数料令の基準にもとづき、新しく公正証書遺言を作成する以上、公証役場に払う手数料も、最初に作成したときと同じように、そのときの財産の評価額(目的の価額)にもとづいて算定されるのが一般的な扱いです。前の遺言を作成したときにすでに手数料を払っていても、書き直しの手数料が割引・免除される制度は設けられていません。財産の評価額が前回と変わっていれば、手数料の金額も変わります。具体的な金額の算定方法や早見表は公正証書遺言作成手数料の記事で解説しています。正確な金額や手続きの細部は、公証役場または専門家に確認することをおすすめします。
内容を少し直したいだけでも、全文を作り直すことになる
公正証書遺言は、原本の一部分だけを後から書き換える仕組みになっていません。財産の一部を渡す相手を変更したい、新しく生まれた孫を受遺者に加えたいといった、内容の一部だけを直したい場合でも、変更後の内容を反映した遺言書をあらためて全文で作成する必要があります。結果として、変更した部分がわずかであっても、手数料は全文を新規作成する場合と同じ考え方で計算されます。変更したい点が多くない場合でも、先に専門家へ相談し、書き直しの範囲や費用の見通しを確認しておくと安心です。
文案を提出したあとに内容を変えると、費用はどうなるか

作成日より前に内容を変更した場合
公証役場に文案を提出したあと、作成日までの間に財産の内容や受け取る人への分け方を変更したい場合は、公証人が文案を再確認する必要があります。手数料そのものは作成当日の内容にもとづいて決まるため、文案の段階で変更しても、その時点で追加の費用が発生するわけではありません。ただし、変更内容によっては日程の調整が必要になり、作成日が延びることがあります。
作成日をキャンセル・延期した場合
体調の都合などで作成日自体をキャンセル・延期する場合、公証人手数料は作成が完了した時点で発生する費用のため、作成前にキャンセルしても手数料そのものは発生しないのが一般的です。ただし、証人を専門家事務所や公証役場に紹介してもらう手配を済ませていた場合は、日当の扱いについて個別に確認が必要です。日程を変更する際は、早めに公証役場や依頼先の専門家に連絡しましょう。
当日の支払い方法|現金以外は使えるか
公証人手数料は、作成当日に公証役場の窓口で現金で支払うのが基本です。クレジットカードや銀行振込に対応していない公証役場が多く、対応状況は公証役場ごとに異なります。当日になって支払い方法で慌てないよう、事前相談の際に、現金以外の支払い方法に対応しているかどうかを確認しておくとよいでしょう。証人を紹介してもらった場合の日当や、正本・謄本の交付手数料も、基本手数料とまとめて当日に支払う場合が一般的です。
作成後にもう一度費用がかかる場面(正本・謄本の再発行)

公正証書遺言の原本は公証役場で保管され、遺言者には作成当日に正本と謄本が交付されます。手元の正本・謄本を紛失した場合や、相続人が遺言執行の手続きのために追加でもう1部必要になった場合は、公証役場に再発行を申請することになり、交付手数料という実費が改めて発生します。書面での交付は用紙1枚につき300円、電子データでの交付に対応している公証役場では1通あたり2500円が目安です。原本そのものは公証役場で長期間保管されるため、自宅保管の正本・謄本を紛失しても、遺言の内容自体が失われる心配はありません。
よくある質問
前の遺言を書き直すとき、前の遺言を公証役場に返す必要はある?
前の遺言の原本は公証役場が保管しているため、返却する必要はありません。新しい公正証書遺言を作成すれば、内容が重なる部分は自動的に後の遺言が優先されます。
書き直しのたびに証人も2名必要?
はい。書き直しも新規の公正証書遺言の作成にあたるため、そのたびに証人2名以上の立ち会いが必要です。友人・知人に適任者がいない場合は、公証役場や専門家事務所に紹介を依頼できます。
正本・謄本を再発行してもらうのに、本人以外でも申請できる?
遺言者本人が生存中は、原則として本人からの申請が必要です。相続開始後の再発行については、申請できる人の範囲が異なるため、公証役場に確認することをおすすめします。
まとめ|公証役場に払う費用は、書き直しや再発行のたびに発生する
公証役場に払う費用は、作成時の手数料だけでなく、遺言を書き直す場合や、正本・謄本を再発行する場合にも、そのたびに発生します。内容を一部だけ直したい場合でも全文を作り直す扱いになるため、書き直しの手数料は新規作成と同じ考え方で計算されます。作成日前のキャンセルや文案の変更そのものには手数料はかかりませんが、日程調整が必要になることがあります。公証役場に払う費用の内訳や手続きの流れ全体を確認したい方は遺言書作成費用 公証役場の記事、具体的な手数料の金額を知りたい方は公正証書遺言作成手数料の記事をご覧ください。ご自身の状況で書き直しが必要か迷う方は、司法書士事務所リーガルステーションまでお気軽にご相談ください。
